森羅万象をゆく。

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ナポレオン・ヒル 悪魔を出し抜け!③

ヒル博士は、まるで裁判官のように悪魔に質問を浴びせる。

なぜか、悪魔はそれに対し完全に正確に答えることを義務付けられている。

どうしてそのようなことになったのか?

たぶんヒル博士は、悪魔に告白を迫るために、マスターマインドを、おそらく妻とともに結成し、『無限の知性』という偉大なる知恵の宝庫の力を行使したのだろう。

 

おそらく、ヒル博士は、自らの思考をコントロールし、あらゆる恐れを克服した者として、正確な答えを要求する権利を得たと考えられる。

ともかく、ヒル博士は悪魔が使うトリック誘惑の方法をすべて白状させていく。

 

私たち人間がそれから身を守り、人生の落とし穴に落ちないで済むように。

 

 

※黒文字(ヒル博士)、紫文字(悪魔:陛下)

 

私は悪魔の考えを読み取ることのできる秘密の暗号を手に入れた。これから簡単な質問をいくつかするので、それに対し明白かつ誠実に答えるように。悪魔よ、用意はいいかね?

 

用意はできている。しかし、私に話しかける際にはもっと敬意を払うように。この対話の間、私のことは「陛下」と呼ぶのだ。

 

なぜ、おまえのこと王のごとく扱わねばならないのか?

 

私の支配はお前たち人類の98%に及んでいる。王に匹敵すると見なされて当然ではないかね?

 

その証拠は?

 

証拠なら山のようにある。

 

その内容は?

 

内容はいろいろだ。答えが聞きたいなら、私のことを「陛下」と呼ぶのだ。

私が答えるものの中には、おまえに理解できるものもあれば、できないものもある。

おまえが私と同じ視点に立てるよう、まずは私のことを説明しよう。

そして、私や私の住むところについておまえたちが持っている間違った考えを正してやろう。

 

陛下、それは良い考えだ。では、まず住んでいる場所から。その次は、

あなたがどういう姿かたちをしているのか説明してもらいたい。

 

姿かたち?まったく、人間はこれだから困る。

私には姿かたちなどない。

おまえたちのように邪魔物を身にまとっていては闘いに不利だ。

私は否定的なエネルギーからできていて、私を恐れる者の意識の中に住んでいる。また私は、物質を構成するすべての原子の半分と、あらゆる精神的・物理的エネルギーの半分を支配している。

すべての原子は2つのグループに分けられるが、その否定的な方が私だと言えば、少しは理解しやすくなるのではないか。

 

なるほど、あなたの言わんとするところがよくわかりました。

つまりは、こういうことですね。

もしあなたという存在がなければ、世界も、星も、電子も、原子も、人間も、何もかも存在しない。

そういうことですか?

 

そうだ。まさしくその通りだ!

 

しかし、あなたが支配しているのが物質とエネルギーのうち半分だけだとしたら、あとの半分は誰が支配しているのでしょう?

 

あとの半分は私の対抗勢力が支配している。

 

対抗勢力?それは何のことですか?

 

対抗勢力とは、お前たちが神と呼んでいるものだ。

 

つまり、あなたと神で宇宙を二分しているということですか?それがあなたの主張でしょうか?

 

これは主張などではない。それは事実なのだ。

この対話が終わる頃には、おまえも私の言っていることがなぜ正しいのか理解するだろう。また、それが正しくなければならない理由も理解するだろう。もしそうでなければ、世界はいまのような世界でなく、おまえのような人間も存在してはいなかったはずだ。

決して私は2枚の割れた舌と尖った尾を持った化け物などではないのだ。

 

でも、あなたは100人のうち98人までの意識を支配していると、自分でそう言いましたよね。もしそうならば、98%までを悪魔が支配するこの世界において、不幸を引き起こしているのがあなたでないとしたら、いったいそれは誰なのですか?

 

世界の不幸を引き起こしているのは私ではないなどと一度も言ったことはない。むしろ、その逆だ。私はそのことを誇りに思っている。

あらゆる物事の否定的な面を代表するのが私の仕事なのだ。

おまえたち人間の思考も含めて。そうでなくして、どうやって人間を操ることができるだろうか、肯定的な思考は対抗勢力がコントロールし、否定的な思考は私がコントロールしているのだ。

 

人間の意識はどうやってコントロールするのですか?

 

それは簡単なことだ。人間の脳の使われていない部分へ侵入し、そこを占拠するだけだ。人間の意識に否定的な思考の種をまいておけば、いずれその空間を占拠しコントロールすることができるようになるのだ。

 

人間の意識をとらえて支配するためのトリックや道具を、あなたはさぞかしたくさん持っているのでしょうね。

 

確かに、人間の意識をコントロールするために、私はたくさんのトリック道具を用いている。しかも私が用いる道具は非常に優秀だ。

 

どうぞ、その優秀な道具について説明してください。

 

人間の意識をコントロールするのに最も適した道具は恐怖。人間の意識に恐怖の種を植え付けると、やがてその種が芽を出して成長する。

そうやって、恐怖が占拠した空間を私がコントロールするのだ。

恐怖の中でもとりわけ次の6つが最も効果が高い。

貧困、非難、病気、失恋、老い、そして死への恐怖

 

そのうち最もよく使うのはどの恐怖ですか?

 

最初と最後、すなわち貧困だ。

私はすべての人間に対して、彼らが生きている間に一度か二度、このうちのいずれかあるいは両方をを使って私の支配力を強化する。私は非常に巧みにその恐怖の種を人間の意識の中に植えつけるので、彼らはそれを自分で作り出したものだと思い込んでいる。さらに私は、その目標を完結するために、悪魔があの世に通じる門のすぐ向こうで待っていて、死んだ人間はそこで永遠の罰を与えられると人に信じ込ませる。

 もちろん、私は人間を罰することなど実際にはできない。

唯一できるのは、人間の意識の中に何らかの恐怖を起こすという罰だけだ。しかし、現実には存在しないものへの恐怖は、現実に存在するものへの恐怖と同じくらい効果的だ。形はどうであれ、すべての恐怖は人間の意識の中で私の占拠する空間を広げてくれる。

 

あなたがどのようにして人間をコントロールできるようになったのか、説明してもらえないでしょうか?

 

それはあまりにも長い話で、とても一言二言では説明できない。それはもう何百万年も前、人間が初めて考えるようになったときのことだ。

それまで人間を支配していたのは私だけだった。

しかし、私の敵どもが積極的思考の持つ偉大な力を発見し、それを人間の意識の中に植え付けたのだ。そのときから私の支配権を守る闘いは始まった。

いまのところ、私は一人でよく闘っている。

対抗勢力に奪われたのは2%だけだ。

 

話から察するに、敵と言うのは考える人間のことを言っているのだと思いますが、それでよろしいですか?

 

ちっともよろしくはないが、その通りだ。

 

あたなが住んでいる場所について、もう少し教えてください。

 

私はどこでも好きな場所に住むことができる。私には、時間や空間は存在しない。

分かりやすく言えば、私は一つのエネルギーなのだ。

すでに話したように、私にとって一番居心地のいい物理的な場所は人間の意識の中だ。

すべての人間の脳の一部は私が支配している。

それがどのくらいの範囲になるかは、その人間が何をどのくらい考えているかによる。

さっきも言ったように、私は考える人間を完全に支配することはできない。

 

 

 

④へ

つづく・・・

 

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